だけが
平瀬たかのり
ツインターボ
だけが
一コーナーに飛び込む
逃げ切れないと
つかまるに決まっていると
思っていたから
だれもが大笑いしながら
狂ったように先頭走る
青覆面を見ていた
ツインターボ
だけが
二コーナーを過ぎる
まずその予想は当たっていて
決まって最後の直線入り口で
ずぶずぶずぶずぶずぶずぶ
まるで音でも聞こえるように
青覆面は沈んでいくのだった
ツインターボ
だけが
三コーナーを迎える
だけど、さ
あこがれていたんだよ
いつも最高速度
いつだって全力疾走の
あの青覆面
いちばん後ろを
歩くような足取りで
ゴールする姿を幾度
見せられたって
ツインターボ
だけが
四コーナーを回っていく
青覆面が逃げ切ったという
オールカマーを 七夕賞を
その場で見たかったよ
きっとぼくは知ったろう
胸はこんなに
高鳴るものなのか
血はこれほどに
逆巻くものなのか と
逃げる逃げれば逃げるとき逃げます逃げろ!
ツインターボだけがゴールを駆け抜ける
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草駿譜