グッドモーニングと言えるだろうか
茜井ことは



薫風に
似つかわしい歌を思いつけなくて
だんまりのまま歩いている
視界が明るくなっていくのに
人影は色濃さを増す早朝を

のどかな光景が
電車の窓を塗りつぶす
その平穏な生活は
変わることなく営まれるのだ
誰がこの地を二度と踏まなくなろうとも

あの日、笑顔で
手を振っていた少女の肺が
本当は涙で濡れていたことに
どうして気づいてあげられただろう

明澄さが
おおい隠すいくつもの
報われなかったまなざしに

グッドモーニング
あなたの声で色づけされずに
言葉だけが宙に浮く





自由詩 グッドモーニングと言えるだろうか Copyright 茜井ことは 2013-03-21 11:17:20
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