ぼぉお　ぼぉお　ぼぉお
　ぷくぷく　ぷくぷく

　よう食用、元気かい
　
　うるせえ、食用って言うな
　何度言ったら分かるんだ
　だいたいおまえだって食えるじゃねえか

　オレなんか食ったってたいして旨くないよ
　それにしてもずいぶん顔見てなかったよな

　おまえが上がってこないからだろうが
　俺はいつだってこの大石の上にいるんだよ

　知ってるよ、下まで鳴き声聞こえるもん
　あれ、もしかして俺が上がってこないと寂しいのおまえ
　寂しかったりしちゃうわけだやっぱり

　うるさい黙れこのヒゲ野郎
　用事はなんだ言ってみろ

　いやあ、うとうとしてたのよさっきまで
　そしたら上が急に赤く染まってきたからよ
　おっ、久しぶりのあれかなあと思ってさ
　ついつい上がってきちゃったわけよ

　ああ、あれだよ

　今日のはとても赤いよな

　ああ、ずいぶんと赤い
　もっと上も、ここも、真っ赤だ

　なあ知ってるかおまえ
　これが出た次の日はよ
　もっと上は絶対真っ青になるんだぜ

　何を偉そうに言ってるんだ
　それはむかし俺がおまえに教えたことだろう

　え、そうだったけか
　まあいいじゃないか、細かいことは気にするな

　まったく相変わらずだおまえは
　こんなのをヌシなんて呼んでるんだからな
　やつらの程度も知れるわ

　へへっ、妬くんじゃないよ
　でも今日のはほんとうに赤くてきれいだ

　ああ、ほんとうにきれいだな

　今まで見たなかで
　いちばん赤くていちばんきれいだな
　きっと明日もっと上は
　ずいぶんと真っ青になるんだろうな
　なあ食用

　ぶっとばすぞ、おまえ

　ぷくぷく　ぷくぷく
　ぼぉお　ぼぉお　ぼぉお