大量殺戮時代
atsuchan69

蟻たち、潰れろ。
そうやって踏んづけても
蟻たちは行進を止めない
畜生め。きっと人間だって多すぎる

 戦争だ、
 疫病だ、
 地震だ、
 飢餓だ、

ひび割れたアトミックパワーが
熱帯雨林をつぶしてこしらえた勉強机に
一晩中、煌々と明かりを灯し、
夜の子供たちは偉大なる滅びの言葉を復唱する

ふたつの眼にふたつの手をあて
誰だって信じたくないこの場所を見ようともしない
ここがどこかって? 
ふん、ここは地獄の一丁目さ

 ちょっとくらいなら、大丈夫
 ちょっとくらいなら、死なない
 ちょっとくらいなら、許される
 ちょっとくらいなら、殺してしまえ

 そのうち、ちょっとくらいが
 あともうすこしになって、
 あともうすこしが、やがて‥‥
 ああ、もう「ぜんぶいっちゃいな!」になって

潰れろ。
そうやって踏んづけられても
踏まれても、踏まれても、
ぼくたち哀れな人間たちは行進を止めない











自由詩 大量殺戮時代 Copyright atsuchan69 2013-03-16 11:03:10
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