不幸を背負いながら
wako

      ?

どこやらの詩人も嘆いていたが
愛は日々の暮らしにぶつかって
粉々にくだけ散るものなのか
    唯物論者の群れに追い回されて
    メッタ切りの憂き目に遭う運命なのか
       ・・・衣食足りて礼節を知る
       愛で空腹は満たされるか!

クラクションの音に飛びのく程の
おどおどとした小心者なのか
    常識の手かせ足かせにつながれて
    ゾロゾロと因習の鎖を引きずって
       嫉妬や恨みにからみつかれて
       盗った盗られたと大騒ぎ

愛はラブレターの隅にひそむ程に
単細胞なものなのか
    クラシックな問題に
    今更ながらにぶつかって
       文字で心は伝えられるか?
       行間は語るか?

宝石店のショーケースにでも
きれいに陳列されているものなのか
    どう考えても
    そんなところに並んでいそうにはない
       ゼロの数に目を眩まされても
       カラットの数に我を忘れても

それとも
遊園地か公園か映画館か
    そんな定番の場所になど
    お行儀よく納まっている訳はない
       アトラクションやパレードに
       多少はハイになったとしても

まして不夜城の街になど
ウロついているはずもない
    キラキラチカチカ光の海で
    おびえた愛は溺死寸前
       日が昇る頃には精魂果てて
       朝もやの中に突っ伏すのが関の山 

      ?

どこ、どこ、どこ
札つきの
おたずね者の愛はどこ?

不毛の日々に息絶えたのか
生き馬の目を抜く時世におののいたのか

まるで不安定な元素の様に
手にするそばから消えていく
餓鬼の様に飢餓の日々
恨み言の渦に巻き込まれて
視線は彷徨い定まらず
遠くで光がまたたいても
誘蛾灯と灯台の光さえ
見分けがつかなくなる始末
    破滅の光か
    導きの光か
    それともただの幻か
行きつ戻りつ日々悩み
そんなこんなで老いていく
そして
遅ればせながら薄々気づく

きっと愛は
何食わぬ顔をして
日々のど真ん中に鎮座しているのだろう
あたり前すぎて
あまりにもあたり前すぎて
誰にも気にとめられない不幸を背負いながら

例えば
すり切れたぬいぐるみを抱いて
眠りこける幼子
その子にそそがれる眼差しと祈り

例えば


自由詩 不幸を背負いながら Copyright wako 2013-03-12 09:13:23
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