ぼくらは貧しかったのだろうか
HAL

あの頃 ぼくらは貧しかった
ラジオはあったけどTVはなかった

電話はよっぽど裕福なひとしか持ってなかった
ぼくに電話が掛かってきたら
電話のあるお隣さんが呼びにきてくれた

餓鬼だったぼくらがなにか悪さをすると
逢ったこともない知らないオッサンからでも
手加減しない拳骨を食らい怒鳴られた

いまはだれでも持っていける電話を持ち
TVは信じられない程に美しい画面になり
手紙を書かなくていいメールで済むようになった

あの頃 ぼくらは貧しかったんだろうか
いまは確かに便利になったけれど
でもぼくらは本当に貧しくなった気がするのは
いったいなぜなんだろうか いったいどうしてなんだろうか




人間は、本来のエネルギーを使わず、サボるためにさまざまな機器を発明してきました。例えば、5メートル歩くのをサボるためにテレビのリモコンを作ったり…これを「便利」と呼んでしまった。だけど、これが本当に幸せで満ち足りた生活といえるのですか?
                                            (倉本 聰)                           



自由詩 ぼくらは貧しかったのだろうか Copyright HAL 2013-03-08 10:22:33
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