おかあさん
和田カマリ
営業途中のランチタイム
環状8号線沿いのラーメン屋で
こども警察から職務質問を受けた
好き嫌いはありますか?
無邪気な質問に対して
トマトが嫌いですと答えたら
ミニパトで本庁に連行された
「愛される警察」実現の為
全国の優秀児童をリクルートし
急造されたこの「こども警察」
取調室にあらわれたのは
天才子役=鈴木福くん似の
ふくよか笑顔チャイルド
現役で慶応幼稚舎に通学する
落としのスペシャリストだそうだ
弁護士がうんたらと熱弁していたが
急に立ち上がりパンパン手を叩くと
「のどが渇いた。」と叫んだ
年老いたダブル浅野似の婦人警官たち
ドブのように黒いカルピスを運ぶ
その時、色素沈着した浅野温子が
髪の毛の臭いを嗅いで欲しいと
ひそひそと耳元でせがんで来た
なんだ結局は色仕掛けか?
そういう事ならばと僕は
皺っぽい浅野ゆうこを抱いた
どっちでも良かったのだ
福くんは意外性に万歳して叫んだ
「そうなの!そっちがおかあさん。」
ラベンダーのムセルヨウナ香りが
熟した雌の肉の臭いに混ざって
僕の罪を覆い隠して行くようだった
ああ耳垢をほじってくれないかな
モヨオシナガラ眠ってしまった僕 + +
+ + 目覚めると格子戸を潜り抜け
夕焼け空を見上げていた
誤認逮捕のお詫びにと
浅野温子が千歳飴をくれた
今日の事は
悪く思わないでねって
言われた
うん
ポキリ
ポキリ
どこで割っても
警察のマークが出てきた
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用語解説
黒いカルピス・・・・・カルピスグレープの事か?
ダブル浅野・・・・・・バブル期のダブルアイコン、トレンディードラマの常連。奇しくも、浅野姓を名乗る二人は、ボディコン・ワンレンファッションで世のバブル紳士達のセックスシンボルとなっていた。最近では地味に初老の婦人の役などをこなしている。
鈴木福くん・・・・・・ドラマ、マルモのおきてでブレークした純真無垢な少年。チャルメラおじさんに顔が似ている。