春告
たもつ
海は遠くにありました
波の中で魚が一匹死にました
二人目はわたしでした
くすくすとガラスが光って
春だと知りました
飛べないトビウオの群れが
雑木林を抜けて
体育館の裏まで続いていました
虫眼鏡を持った子どもたちが
落ちた花粉を数えています
その頃になると
懐かしい、なんて言葉の意味も
憶えてはいませんでした
自由詩
春告
Copyright
たもつ
2013-03-05 19:15:16
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