この手の中に
石田とわ


    いつかはいろんなことが上手くいき
    少しはしあわせになれると
    今でも信じている
    現実はそう甘くなく
    事態はより深刻と複雑さが絡まっているが
    そんなものは時の前に立てば
    たやすくほぐれるだろう
    今がしあわせじゃないかといえば
    そんなことはなく
    いつだってその背中を思っている
    こんな夜、手足を丸め眠っているね
    なにもできないことを嘆く時はすでに過ぎ
    苦しみをよそに、わたしはわたしの生活を
    淡々と過ごす
    一緒に死んでくれないかと言ったことを
    覚えているだろうか
    死ぬ時はひとりだとあっさり振られたけれど
    そんなことも今は遠く感じる
    砂時計の砂はいつだって同じだけ減っていく
    最後の一粒が落ちるまで見つめていよう
    手を放すことができなかったわたしができる
    唯一のことだから
    しあわせは握りしめたこの手の中にある
    あなたは気づいてくれるだろうか










自由詩 この手の中に Copyright 石田とわ 2013-03-04 03:07:28
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