この手の中に
石田とわ
いつかはいろんなことが上手くいき
少しはしあわせになれると
今でも信じている
現実はそう甘くなく
事態はより深刻と複雑さが絡まっているが
そんなものは時の前に立てば
たやすくほぐれるだろう
今がしあわせじゃないかといえば
そんなことはなく
いつだってその背中を思っている
こんな夜、手足を丸め眠っているね
なにもできないことを嘆く時はすでに過ぎ
苦しみをよそに、わたしはわたしの生活を
淡々と過ごす
一緒に死んでくれないかと言ったことを
覚えているだろうか
死ぬ時はひとりだとあっさり振られたけれど
そんなことも今は遠く感じる
砂時計の砂はいつだって同じだけ減っていく
最後の一粒が落ちるまで見つめていよう
手を放すことができなかったわたしができる
唯一のことだから
しあわせは握りしめたこの手の中にある
あなたは気づいてくれるだろうか