輪郭
三田九郎

ひさかたぶりに日を浴びた
しわがれた藁半紙の香り
言葉が輪郭を失いそうだ
雨音が遠くに延びる

鏡を見ていると危うくなる
手のひらで骨格に触れてみる
わたしはこの形状で
外縁で保たれているのか

手元からレシートが飛んだ
何百円の買い物の記憶も飛んだ
記録しないと忘れられちゃうものなんか
忘れられてしまえばいい

捨てられた新聞紙は風を浴び
路面を淋しく転がっていく
時代に輪郭などあるのだろうか
雨音に包み込まれる


自由詩 輪郭 Copyright 三田九郎 2013-03-01 21:28:58
notebook Home