1ダースの遠景
nonya


 1.湖畔に佇む1本の孤独

 2.湖面を滑る1羽の憂鬱

 3.季節は旋回しながら降
   りてきて

 4.あらゆるものの輪郭が
   緩やかに尖っていく頃

 5.1本の孤独は身悶えの
   果てに

 6.甘くも酸っぱくもない
   コトノハの実をいくつ
   か結んだ

 7.大仰な身振りで鳥達を
   手招いてはみたが

 8.見向きもされないコト
   ノハの実は青臭いまま
   地面に熟れ落ちて降り
   積もるばかりだった

 9.すっかり肩を落とした
   頭でっかちの孤独だっ
   たが

10.とある昼下がり
   まあるい温もりがいき
   なり寄り添ってきた

11.よくよく見れば温もり
   も孤独であった
   2本の孤独は仲良く並
   んで湖畔に佇んだ

12.このまま穏やかな時間
   の中で夢見るように朽
   ち果てていけると思っ
   ていたとある明け方
   1本の温もりに似た孤
   独は1羽の憂鬱に姿を
   変え泳ぎ去っていった

 1.取り残された孤独はオ
   マケの1本となって湖
   畔に立ち尽くした





自由詩 1ダースの遠景 Copyright nonya 2013-03-01 19:56:28
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