立春
信天翁

      移転先で埋めた柿の種子が
いつのまにか幹を伸ばし梢を広げながら

   ウラノスにすなおな想いを秘めて
     真夏には緑陰の王者を自負し

   ボレアスにもざわめきを甘受して
   真冬での裸のシルエットを示威し
        
          十数年にわたって
  二階の窓辺をうかがってくれている

   ありがとうょ それぢゃ せめて 
     分身の落ち葉は天国に搬送し

化身のわくらばは大地に返納してやろう


自由詩 立春 Copyright 信天翁 2013-02-22 20:19:53
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