足りないもの
梅昆布茶

人生は足りないものばかりだが
僕はどこで誰に足りなくなるのだろう

人生は余るものもあるのだが
誰があまるんだろう

あまるものなんて無いはずなのに


軟体動物が線虫がそして僕が
てらてらとした軌跡で歩むことを赦す世界は優しい

僕はピタピタ着く小さな吸盤で
三丁目のタコに所属しているが

人生はラフティング
アメイジング
ダウジング

水脈はよけいな回路を経て

僕たちが指をおる前に
君は年老いてゆく

僕だってちっとも成長しないまま
崩壊しているんだ

僕たちは悲鳴をあげながら静かに老いてゆく
くちばしを尖らしてばかりの人生なんて

本当は哀しい

頼りなく迷った歌を歌うはずだったんだが

ちょっとちょっと気をとりなおしたんだ

ミリ単位の速度で意志があれば僕らは変わってゆく

時代でさえ変わるのだものね

足りないものって

僕たちのあたまじゃなくって心の一部なのかもしれんし

ラップでも人生は語れるが
もうちょっと落ち着いた方法があるだろう

僕達は静かな敗北者なのだから

また勝つことができるはずだとも思うんだ






自由詩 足りないもの Copyright 梅昆布茶 2013-02-16 23:17:40
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