はつ夢 
服部 剛

年賀状の写真から 
親戚の一歳のこどもが 
すくっと立って、こちらに 
きょろりとした目で
新年の挨拶をする 

その夜 
嫁さんが皿を洗う音を聞きながら 
一足お先に布団に入った一歳の周に 
僕は子守唄を歌う 

ミルクをいっぱい飲んだ後 
もみじの両手を開いたまんまの 
あどけない寝顔  

(パパが、守ってやるからな・・・)  

人より染色体が一本多く 
なかなか立たない周をみつめ 
思わず心に、呟いた。 

皿洗いを終えて一息ついた、嫁さんが  
ゆっくり僕に、お屠蘇を注いだ。 

テレビでは「五体不満足」の乙武さんが 
とてもお洒落な服を着て 
これからの夢を語っていた  

静かに頷く嫁さんに 
今度は僕が、お屠蘇を注いだ。  

新春の、夫婦でたしなむ酒の味に 
ほろ酔いつつも 
ふたりの目線の先で夢を見て 
布団の中ですやすや眠る 
周の椛の手のひらが、開く 

明日の夢を掴むように 








自由詩 はつ夢  Copyright 服部 剛 2013-02-08 23:29:38
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