全身全霊痛感覚
塩崎みあき

冬の中のふゆあかりのひとつ立っている微妙な抵抗のふたつです
縞雪柄の冬の大六活計の角で頭を打ったかわいそうなくわいです
デスケル型の瞳のチリリです
覗き込む一種の炎のぬける曇り空の樹の消し炭色の落葉の鳥たちです

飴色のクラッシックスターのこぼれる廃墟の酸性です

でっのわたくしりつの白い壁豆腐です
オモシロ茸の結晶のろっかけいの濾過系統を調べる拷問です

アメーバ状の光のぴぴぴぴぴぴ
襟を正すジャズメンの目のぎらつきの中の矮小です
少女マンガの中のびびびびび 美
ジャズメンは襟を乱してサックスの錯ラン反射です

ストイックピンクのピアノの群れの水飲み場の強かさです
そこでは鍵盤ハーモニカの狂気の海馬です
二重連打されたポカホンタスの情熱です
音階のない幽霊のニワトリの鶏冠です

愛の孤独をナメまわす孤猫の舌の上の研磨剤です
裾のできあがった皮膚の歩行困難です
トラッキングの恐ろしさの中の憂鬱という部位の切り口です
ぶつ切りです

死 死がこちら側を見ています
目 鼻 口 耳 のど
のどにやんわりと死が近づいています
なんてロマンチックなブロイラー!

春には旅行に行きましょう
くらいじめじめした所がいいです
森へ
神の住まう森へ 森へ 行こうぞ 森へ

米の喪服を思案している春の夜の夢の這いずり回る血管です
沼底で脱穀の時期を待っています
スプーン一杯の塩水
その中の大量のサワガニたちに捧げるトマトです

そうしたらかえるげろげろげろげろげろげろげろ
あれは夜だった森の入り口の切り傷です
何度も同じ事を発言してトイレに隠れるピンポン球
を見ているマジックステッキの明滅の教唆

イメージを覆す主語のないハラペーニョは
ツメ組の誤解へと導かれた天使だけを串刺しにしています
まだどこかにある教会には顔のない天使がいる
その青さと言ったらない

青なんていまさら古いさもう青なんて
今はなんといっても旧ポリプロピレン時代
青なんてもう古いのさ
青なんて

大切なことはザワークラウトの傍でエマルジョン化していて
暑い日差しに解けるに任せていた宝石で
それを食べる美しい ◯ が
最近のお気に入りの家電製品です

家の熱帯魚の体表に生えているカビの思考能力を科学しています
家柄のわるくないピッケルハウベの鏡面仕上げの恋です
一歩家から出れば私たちの靴は非常な鮮度です
そのまま歯医者へむかう白カビチーズの匂いを携えて白カビチーズを歯に詰める

歯医者の入っている建物の角に死神が立っている
私たちの顔は黒々と染め上げられる
ばらばらのつぎはぎの私たちの瞳
瞳の奥で光る痛感覚

痛感覚とは
チョウチョウだったりする
チョウチョウは
特にモンキチョウっていうのはあの止まって
黄色い翅をふーわふーわするところが耳の不安を呼ぶ
その村では
春のなんともいえない陽気の中を歩くと
決まって菜の花畑にたどり着いた
そこではたくさんの蝶が 蝶が 蝶が
ときどき羽化しなかったサナギがぐちゃぐちゃになって
白い小さな野犬が嬉しそうにその中で飛びはねっている

そこで話は終了する


グリルピンクの貼るホッカイロでじゅうじゅう
ザワリの砂のしょっぴきの遺影のサウンドトラック
トラックに引かれる孤猫のビュッフェ形式
サーバーを取り落としてライトは消灯する
ショートケーキの出番の中にあの日のホルモンバランス
私たちは
とっても簡素なサンドウィッチをしっていて
こうしてこうしてこうして作るんだよ
いたい!

とっさに手首を見る午前2時

です


自由詩 全身全霊痛感覚 Copyright 塩崎みあき 2013-02-05 22:23:25
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