千代紙
千波 一也


幼い日々が
やわらかく在ったのは
いつわりごと、が
易しかったから

不器用な手に
添われていたから


ひとつひとつの横顔は
おぼろ気だけれど
ぬくもる匂いは
きえ去らない

わたしのなかの
幻灯機


ひかりの粒を
寄せあつめたら
おもても裏もなくなるね

昨日は、あした
明日は、きのう

いろを極めた
影たちがつながる


華やかに
ことばを紡げたら、と
願いごとの続く限り
幸せはとぎれない

たよりなげな指たちが
とじては咲いて
咲いてはとじて

息吹は
おわらない







自由詩 千代紙 Copyright 千波 一也 2013-01-29 22:31:53
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