いのちの歓び
服部 剛
今迄の僕は
どれほど多くのまなざしに
みつめられてきただろう
どれほど多くの手に
支えられてきただろう
今、僕は、ようやく
幹の内側からいのちの歓びを
呻
(
うめ
)
くように
地中に根の足を張り始め
空へ枝葉の掌をひろげ始め
自らという樹木の内に
脈打つ、心臓の
音
(
ね
)
が
からだの隅々を巡りゆく――
これからの僕を
どれほどの雨が潤すだろう
どれほどの陽をそそがれるだろう
僕は伸びる、何処までも
あの空へ
この
声音
(
こわね
)
の響き渡るまで
自由詩
いのちの歓び
Copyright
服部 剛
2013-01-21 21:03:56
縦