らいみ

どこかに穴があいている
そこから風が通りぬける
何枚セーターを重ね着してみても
ストーブのメモリを強にしてみても
こたつに首までもぐってみても
寒い

穴のありかがわかれば
あるだけのぼろ布を集めて
塞いでしまうのだけど
風の来る方向を探り
家中の壁という壁をくまなく見ていっても
穴は見つからない
寒い

暖冬だという話だ
どんどん地球が温まっているという話だ
氷は溶け
春を待たずに花が咲いているという
冬の期間は短くなるばかりだというのに
寒い

雪は降らない
氷も降らない
木枯らしも吹かない
寒い

マッチ売りの少女のように
マッチを擦ってみようか
炎が灯る間だけの 幻を見ていたい


自由詩Copyright らいみ 2004-12-21 23:39:14
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