決別
多紀





大教会の

ステンドグラスが

粉々に割れて

天使が落下してきた

大理石に叩きつけられ

散らばる宝石の上で

息絶える



幼い君はその光景を

ぼんやりと眺めている



僕はあわてて両手で

目隠しをしようとした




君は僕の手を振り払った



「いらない、これがみたい」



そして割れた天井から

冷たく強い風が

吹き付けてくる



悪魔が来る 悪魔が



僕は君を連れて逃げようと

手を伸ばした




君は僕から逃げた



「いかない、それらに出逢いたい」



ああ とうとう

この時が来たんだね


君は自分の中の

こどもと決別した



冷たく強い風が

吹き付けてくる



死と闇と愛が

君と僕に迫りくる







自由詩 決別 Copyright 多紀 2013-01-16 17:41:52
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