ハリボテ。
元親 ミッド

人からたまに言われるさ。

「いつも楽しそうですね」

「ちゃんとしててすごいですね」

「きれいにしてて素敵ですね」

・・・etc.



もうちょっと近づいて、よく見てごらん。

ほら、これって紙でできているんだよ。

裏に回ってみてごらん。

ほら、細い骨組に、ただ紙を張ってあるだけの

ハリボテなのさ。



そう。ほとんどはニセモノさ。

表面だけ取り繕って、ホンモノに見えるように

実物の部分と、ニセモノの部分とを

くっつけただけのハリボテなのさ。

だから、そんなに立派なもんじゃない。



なのに、キミは言うんだ。

あなたは優しいとか

あなたは強いねとか

あなたはすごいとか。

言われる度に、言われる分だけ

どうしょうもなく申し訳なくなって

大きなハリボテの裏側を見つめながら

このままじゃいけないなと思うようになった。



今のうちに

このハリボテの裏で

本当にコツコツと

ホンモノを作り上げてしまおう。



自分は裏切ってきたけれど

キミだけは裏切りたくない。

自分を大事にしようとは思わないけど

キミだけは大事にしたい。



ホンモノになるんだ。

いまなら間に合うかもしれないから。


自由詩 ハリボテ。 Copyright 元親 ミッド 2013-01-16 16:14:37
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