六番目の指
月形半分子



庭に落つまだ新しき抜け殻は夜間飛行の孤独かたどり

未開の地鉄線伸びいく開拓史月の先住民保存せよ

日本の古くて暗き引き出しを覗けばなかにいる死刑囚

夏祭り流し踊りの白粉の細きうなじは母のものなり

司法とは雲ひとつなきマドリッド修道院の奥まりし窓

その農家姓を田畑と名乗りおり美しきこと子の名は雪子

情熱の美しき国スペインは血色纏いて白を愛しむ

人気なく蜘蛛の巣古き軒先に訪ない告げる原爆忌

今日もまた悲しき顔の電気椅子向かいの椅子に天使が座りて





短歌 六番目の指 Copyright 月形半分子 2013-01-16 03:15:15
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