【 Window 】
泡沫恋歌

【 Window 】

ブラインドを上げて
窓を大きく開けた
そこから新鮮な空気が流れ込んでくる

青い空 鳥の囀り 風の音
明るい陽の光 そこに希望があった
掌を伸ばせば届きそうな楽園を探して
次々と窓を開けていった わたし

希望を見つけるためのロジック

ひとつ ひとつ
窓を開ける度に
成長していくようだった
思考や確信に近づいていくのだと
そう思っていた

だが それは間違いだった
無駄に開かれた窓からは
冷たい風が吹き込んできて
私の心は
忽ち風邪を引いてしまった

なにが正しくて
なにが間違いなのかも分からない
混沌とした議論の渦に巻き込まれて
いろんな意思の力に依って
私の論理が曲げられていく
矜持が圧し潰されていく

そこに希望のロジックはなかった

ファイルを削除した
マウスを壁に投げつけた
パソコンのプラグを引き抜いた
架空世界のシンデレラ
お帰りはあちら――

心のWindowをひとつ閉じた


                           2013/01/05


自由詩 【 Window 】 Copyright 泡沫恋歌 2013-01-05 08:58:00
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