去りゆくものたち、生まれくるものたち
あおば

               121231

ザルで掬い取ったざらざらの砂粒を選り分けている
もとより砂金など含まれているはずもない裏川の黒い砂粒も
大晦日の朝日に煌めくと黒曜石の誇りを取り戻すかのように角を尖らせた
活きの良い川風が背中をずどんとどやしつけぶるっと背筋を振るわせられるがまだ生きている証のように思えば頼もしい
僅かに混じっている白く鈍いカケラは長石かそれとも二枚貝のなれの果てかは定かでないが真っ黒な川底にも幾分の明るさを与えているようにも思えた
失われ帰郷不可能な川底にもまだ黒い砂が堆積したままだろうと思いながら
時々大袈裟に音を立てる錦鯉の放流された群れの他にもなにか生息するものか居ないかと一心に目を凝らす日常が約束させられているかのように思いながら正月飾りをスーパーマーケットで買い求める人々の当てのない希望をせせら笑う余裕の無いままにするっと年を越すだろうと考えているが、一等61組195280番、四億円の年末ジャンボ宝くじの引き替え期間は一年間なので当選者はそれを忘れないようにしてください。




タイトルは、小原 明季さん


自由詩 去りゆくものたち、生まれくるものたち Copyright あおば 2012-12-31 15:28:06
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