六月の朝と植物
乾 加津也

六月の朝に好きな人に会う。

新しいときの創造は過去を手放すことなのに、音をたてて崩れる国のまえで、いまは少しも淋しくなれない。

ほんの小さな単語たちにも特権は与えられる。神は完全な意味で公正な方なので。

地球はひとつの巨大なプール。物事は忙しく置き換えられたり変容したりする。革命にむかって比喩は100パーセント展開される。芸術家は心を震わせる種子を数えるのに厭く。

だが、新しいものは作られにくいので、わたしたちには正しい準備が求められている。何よりも、待ちつづけるための知恵とゆとりとを。

高い標識を憎んだ。

六月の朝に好きな人は新しい植物を抱いてきた。


自由詩 六月の朝と植物 Copyright 乾 加津也 2012-12-29 23:58:34
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