僕は灰色
智鶴

朝露に繋いだ透明な嘘が
霧に包まれ隠されて
始まった世界が僕を呑み込んで
君の姿も朧気だった

今日もまた産まれては
夕べのオレンジに抱かれて
懐かしさに似た悲劇さ

哀しさに包まれ、望んだ
君の後ろ姿、鈍色
其処ら中に転がった、裸足の
誰だったろうか、暖かい人の柔らかさ
太陽に殺されたオレンジの
雑踏に踏み潰され
僕は、まだ灰色だ

繰り返し望んだ筈の
虚ろな世界の過ち
美しい筈だった夜の死に様と
朝日が晒す
君のいなくなった僕の体温が
哀しいよ

懐かしさと君が包んだ
嘘と暖かさ、愛しい
鮮やかな世界に、抱かれて
僕は、まだ
有り触れた夜のこと、美しいね
暖かい街の中で僕は
君の腕に抱かれ、眠っても
僕は、まだ灰色だ

灰色だ


自由詩 僕は灰色 Copyright 智鶴 2012-12-15 23:37:19
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