【 木枯らし 】
泡沫恋歌

  木枯らし( 男の子の言い分 )

いつもの通学路
冷たい木枯らし ふたりの頬を打つ
僕の指先 ポケットで凍えてる

触れようとのばした 僕の掌を
君が冷たく払いのけたから
ポケットの中で コブシになった

木枯らし冷たいよ
君の肩を抱けたら
ふたりで温まれるのに

不機嫌なキミは
足元でカサカサ舞う 枯葉を
じっと見詰めたままで
一度として 目線を合わせない

木枯らし冷たいよ
君が泣いてくれたらいいのに
そしたら僕が謝れるんだ

君の頑な態度が 僕を苛立たせる

きっと僕がメールを送って 
君が無視して
それを僕が怒って 
ふたりの恋は終わりかな?

木枯らし冷たいよ
君の心に触れられない
もうすぐクリスマスなのに

僕はひとりぼっちなのかな……

     *

  木枯らし( 女の子の言い分 )

木枯らしなんか寒くない
アタシの決意は変らない

いつも同じ文句のメール
優等生の君は 誰にでも優しい 
アタシでなくてもイイんじゃないの?

もうウンザリだよ 
ツマンナイよ そんな恋は
君の心 いつもよそ見してるんだもん

さっきアタシに 触れようとしたから
払い除けたら そのままその掌を
ポケットにそっとしまっちゃった

いつも君はそうなんだ
そうやって すぐに引いてしまう
ねぇ どうして怒らないのよ!

そしたらアタシ泣けるのに
きっと素直になれたのに
もっとアタシの心に触れてよ!

木枯らしなんか寒くない
明日 髪を切りに行くんだ
春までにはきっと伸びてるから

今年のクリスマスどうしようかな?




自由詩 【 木枯らし 】 Copyright 泡沫恋歌 2012-12-13 08:34:44
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