アソコ伝 24章
花形新次

グッチョレの泉には
液の精霊グッチョビアヌスが
棲むと言われていた
タマンキと弟子たちは
グッチョレの泉に宿をとり
一晩旅の疲れを精霊に癒してもらう
つもりだった
グッチョビアヌスと交渉ができる
村の唯一の男ブローカスに
グッチョビアヌスの都合を確認してもらうと
救世主コチンポでありジャーパの最後の王である
タマンキならば誰よりも先にお相手をするべきだが
生憎今日は先約があり、四時間お待ち頂くことになる
ということだった
弟子たちは憤慨し、我々を待たすのは許すとしても
我らが王を待たせるのは万死に価すると息巻いた
弟子たちの騒ぎを聞き付け
タマンキはこう言われた
「交渉とは時間と金についてのことである
時間が待たされるならば金額を減らしてもらえばいい」
弟子たちが、おおそうだと関心していると
ブローカスが
いえ、値段交渉はしておりません
定額お支払ください
と冷静に言った
タマンキは静かに微笑まれ
部屋に消えると
三日間祈りを捧げ
グッチョレの泉を灼熱の太陽で
干上がらせてしまわれた


自由詩 アソコ伝 24章 Copyright 花形新次 2012-12-03 20:56:39
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