ある朝私はプラットホームで

呆然と立っていた
木の椅子が隣にあるというのに
漠然と立っていた
周りは皆笑っているというのに

砂漠
砂漠だ

私はそう強く思った
砂漠で水もなく迷ってしまったのだと

誰か助けてくれ
これでは私は砂に埋もれてしまう
昔読んだ本
あの女になってしまう

閉鎖的かつ
開放的な―それは俯瞰視した場合―恐怖が
私を襲う

あの女になってしまう
あの女になってしまう

念仏のように
そう呟いたのは恐怖から逃れる為

私はあの女にはならない
ただ死ぬだけ
砂に埋まってただ死ぬだけ

「水をください」
プラットホームで小さく吐いた