雨音
灰泥軽茶

雨音で起きる朝

ひんやり冷たい水族館にひとりいる

水槽には何もいない

雨音だけが響いている

水槽に手をあてると飴細工のように

脆く崩れて

雨が横殴りのように降ってくる

外に出れば街は海の中

足元から雨が吹き出てきて

皆が傘に乗りながら浮いている

私は傘がないので仕方なく

少し浮きながらふわふわしていると

藍色の朝が沁みだしてきて

ぶぉおおおんと

バイクの音とともに目が覚めて

いつもより早い静かな朝を迎える


自由詩 雨音 Copyright 灰泥軽茶 2012-11-23 04:56:45
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