味の無いマウス
碧姫

ぽってりとしている
動き回る
縦へ横へ斜めへ

昨日は空白だった
悲しい嘘を重ねながら傍観者
鍋の中で踊っている
乱切りにした人参が
恨めしげに私の目を写す

今日は空白だろうか
午後2時になってまでも
しびれた冷たすぎる足先
さっきまで温めていたのは
放射線状に広がる空想だろうか

掴んだマウスの形に
存在感の無い当然を見つけて
あぁこれも現実だよねとため息をつく
くるんと前回りをして着地
さぁて どこを目指して何を指そう?

明日は空白のはずだ
夜が明ける寸前の闇と光の合間には
きっと一瞬だけそれを埋める
小さな小さなパラグラフがあるだろうけれど
見つけられる時間に私は
どう頑張っても起きてはいられない
それを掴める様になる
その為に
梯子をまず上れるように

コワクテハシゴナンテノボレナカッタ
チイサイコロカラソレハカワラナイジジツ
ダケドソロソロノボロウトオモウ
モウウシナウダケノセイカツハイヤダ

白でもなくグレーでもなく
当たり前でもなく特殊でもなく

ぽってりとしている
動き回る
縦へ横へ斜めへ

きっと明日も私は

昨日は空白だった



詠み始めるのかも知れないけれど

それでも

愚かしいまでの真昼に
浮かび上がってきた白い梯子を
ぬぐいがたいまでの恐怖心と共に
昇っていくのだろう

味の無い マウスを横目に


10年後
あなたに逢いに


自由詩 味の無いマウス Copyright 碧姫 2004-12-18 14:16:50
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