風と美術館
梅昆布茶

アクセルを開ける
しだいに風景がうしろに遠のいてゆく

風だけの世界だ
僕はすべてから解放されている

一瞬彼女の指を想う
届かない距離にある白さ

ただ優しい仕種で
微笑んで欲しかっただけなんだ

随分遠くへきてしまった
かえるあてもないなら
いっそ風になってしまおう

僕は画集の頁をめくる風だ
マンセル表で色を見分ける必要はないさ
僕自身が色彩だもの

公園の噴水のまえでやすもう
そして踊る君を見たいんだ
小さな声で

口ずさんで欲しいんだ
愛の色を


自由詩 風と美術館 Copyright 梅昆布茶 2012-11-18 10:32:45
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