葉leaf

歴史に突き刺さった彼の脚を
歴史に絞め殺された彼の眼を
上空を飛び交う空の歴史へと組み替えよ
縮み果てている そして
端をどこかに置き忘れてしまった
空という平坦な炎に死んだ憎しみを与えよ
誰かが発した身体が振動し
彼の腕をのこぎりで挽く
誰かが発した社会が重い網となり
彼の舌を四角に固める
倦怠の森から海を隔てて
憂鬱の国へと汚物を捨て
彼には皺のような表情だけが残った
木々の谺が返ってこない
葉が国家のように戯れている中
小川は静かな喜悦を下流に贈り続けている
彼の表情の島には飢えた犬たちがあふれ
犬たちの遠吠えの交差がもはや彼である
寂しく互いに呼び合って虚空に消えていく
その遠吠えは有機的にむくむくと膨れ上がり
構成された彼は端然と冬の部屋を構成してゆく


自由詩Copyright 葉leaf 2012-11-15 05:35:49
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