コスモス・ドライブ。
元親 ミッド

コスモスを見に行こうよ。とキミが言うから

その日、僕らは旅に出た。

思いつきで、旅に出た。



できれば、車はオープンカーの

アメリカンなおっきな車が理想だけれど

やっぱりいつもの小さな軽自動車だ。

それでもいいからとキミは言う。

小さい車だと、

ずっとあなたとくっついていられるでしょう?



天気はいいけど、意外と寒くて

オープンカーでなくて良かったねと笑ったら

キミは、私の言った通りねと、どや顔をする。

くっついていられるってのは

だから、寒くないって意味だったの?と

少し苦笑いの僕。

さぁね、どんな意味かは内緒だよ。と

キミは笑った。



コスモスを見に行こうよ。とキミが言うから

その日、僕らは旅に出て

繰り返す日常に、ちょっとしたスパイスをふったんだ。



旅先で、何か美味しい物でも食べよう。

そういいながら車を流してみたけれど

それらしいお洒落なお店も見つからず

結局、よくあるファミレスに入り

手ごろなランチを食べたんだ。

珍しい物でも食べたかったのではなかろうかと

心配したのは僕の方。

それでもキミは、不思議なことに上機嫌で

楽しげな会話をポンポンとはしゃぐ子供のように投げてきた。



コスモスが揺れている。

それを眺めていると、ちょっと眠たくなるんだけれど

キミは、横で大はしゃぎして

ぐいぐいと僕の腕を引っ張って、

秋のまどろみに沈もうとしていたのに、

それを何度も引き上げた。



コスモス見にこれて良かったね。と言うと

キミは、ハナウタの間で、うんと頷いて

また、どこかに連れて行ってね!

と、満面の笑みでそういった。



コスモスを見に行こうよ。とキミが言うから

その日、僕らは旅に出て

僕はうかつにも、キミにまた恋をした。


自由詩 コスモス・ドライブ。 Copyright 元親 ミッド 2012-11-12 22:25:23
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