起床
オイタル

玄関に靴を並べて
朝日を当てる

猫に餌をやって
ミルクをやる
顎の先を少しなでて
それから座る
座って朝日を顔に当てる
それから この身の全てに

夜の間に
オニがやって来て
笑って
私をかじっていった
私の中に住み着くオニが
ときおり柱や
ドアの取っ手を
ゆるく かじっていく
それは ゆるいが
すばやく痛い 痛かった

痛い風が闇を高く吹いていった
雨も遅れてやってきた
私は座って
うつぶせて泣いていた
私が泣くのを どうしよう
たとえば肩を 叩くとか
口を ゆすぐとか

あれもこれも
全てオニのせいにして
そういうことにして

まずは 腕を回し
膝を交互に伸ばして
朝日を
そこかしこの
オニの指先の名残に当てる


自由詩 起床 Copyright オイタル 2012-11-09 14:57:59
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