知らない人
花形新次
息子から電話が掛かってきた
切羽詰まった感じだった
友達が飼っている猿を
妊娠させてしまったという
話だった
慰謝料を要求されているという
ことだった
すぐに必要だと言った
用立てて欲しいと言った
おかしいと思った
何か変だと思った
嘘ではないかと疑った
息子ではないのではと
疑った
思いきって確かめてみた
「それはそうと、おまえ幾つになったんだい?」
「イヤだなあ母さん、30だよ」
私が15の時に出来た子だった
杉田かおるかっ!
自由詩
知らない人
Copyright
花形新次
2012-11-08 23:45:59