仲間だから
HAL
いま沢山のひとたちがこころを病んで生きてる
でもそのひとたちはこころが病んでいることを
だれにも悟れないように隠しながら生きている
それは憐れみや同情を引きたくないだけじゃなく
想う以上の差別と言ってもいい偏見を受けるから
家族でも親友でもみんな一緒だと知っているから
その病いはレントゲンにもMRIにもCTにも映らないし
確かな治療法はないまま処方される薬を服用するだけ
だからそのひとたちは心療内科や精神科には行かない
ひとりその病いを抱えながら普通であるように
だれかに知られることを怖れながら日々を送る
罹ったことのないひとには絶対に分からないと
でも好かったらぼくに逢いにこないか
もちろんだれにもぼくは話さないから
愚痴や弱音を吐くのをぼくはただ聴く
それで病いが治る訣ではないことを
ぼくは知っている治すつもりもない
ぼくはカウンセリングなんてしない
でもほんの僅かだけど生きるのが楽にはなるよ
ぼくだって病いを隠して生きている仲間だから
同病相憐れむなんて云う非礼も無礼もしないよ
ぼくにもそんなひとがいるからね
そのひとも同じ病いを抱えながら
他愛もない話しをするだけだけど
でも少なくてもぼくは自殺を考えなくなった
窒息しそうなこころが呼吸をしはじめたから
だからぼくに逢いにおいでと誘っているんだ
顔を歪めて必死に笑う強がりのきみ
でもひとりで深夜に眠れず泣くきみ
ぼくだってかつてはそうだったんだ
ぼくはそんなきみを分かってしまうんだよ
だから愚痴や弱音を吐きに逢いにこないか
そう ぼくにだよ
この世にひとりぼっちのひとなんていないことを分かって欲しいから
だれにでも寄り添ってくれるひとが必ずいることを知って欲しいから