私のトレンチコート
朝焼彩茜色
スタンドカラーではないけれど 凛々しく立つ襟元
ベージュが王色の トレンチコート
10年前の私の トレンチコート
袖を通した瞬間から 棺おけに羽織る永遠の私の制服
張のあるコットン素材 裏地はタータンチェックにあみだを昇る
ベージュが10年を辿る クリーニングと共に汗の勲章 私の冬の勲章
さっそうと歩いた瞬間から 北風も春風も腰までの髪も
ばさっと切り刻む ヒールの音なんかに負けた事がない
流行の外枠 不動の青写真を描き続ける 夢描くデザイン
惹かれ続けた10年間 棺おけの中に羽織る永遠の私の制服
燃やされるのはもったいない けれど
私以外着せてくれない 私のトレンチコート