鋼鉄の羊。
元親 ミッド

正しいことを
そのまま正しいと言うことが
なかなかに難しい世の中なのは知っている。



本音とたてまえとを使い分け
上手に立ち回らなければ
生き延びるのは難しい。



そうして
迷える子羊たちは
群れながら、寄り添って
ただ右往左往しながら
メェメェとしか言わないのだ。



いつ天への捧げものとして
自らがいけにえとされるのかわからないから
それに震えて
群れの中からはみださないように
身を小さくして寄りそっているのだ。



誰も行かないのなら
俺が行く。



その群れの中から
進んであの祭壇へと向かおう。
自らをいけにえとする為に。



あるものは嘆き
あるものは叫び
そうした
悲痛なる他の羊たちの鳴き声の中に踏み出せば
羊の群れは、たじろぐように道をあけ
いけにえの祭壇に向かう一本道が開けた。



そのただ中を一人
覚悟を握りしめながら
睨むように前を見据えて
静かに、静かに、
歩みを進める。



だが
簡単に命を落とすつもりも無い。
やすやすと勝手にはされぬ。
逆に相手の喉に噛みついて食ろうてやるわ。



羊は羊でも
普通の羊とは違うのだ。



己は「鋼鉄の羊」であらねばならぬ。



理不尽なる世の中に
敢然と立ち向かう
「鋼鉄の羊」。



理不尽なる世界にあって
正しいことを
正しいと言える



そんな
「鋼鉄の羊」でありたい。


自由詩 鋼鉄の羊。 Copyright 元親 ミッド 2012-11-02 11:54:56
notebook Home 戻る