夜とまばたき
木立 悟





石像が
石像の霧をまとう
段差 緑
歩き去る傘


右上からすべてを消す光
時計まわりの羽と波
池の水を飲む光
景は影を置いてゆく


流木の窓 墨の窓
何も無いことを告げる音
ふちどりのむこう
ひとつきりの冬


川と川辺
壁と飛沫
雲間の語り
緑でも鉛でもある光


空と塩を結ぶ縄
枝のはざまをすぎる船
たくさんの目が灯し火を追い
浜から浜へ馳せてゆく


骨が骨になることを受け入れ
原が双つの夜になるとき
窓は貝 闇は瀧
淵の光に落ちてゆく



























自由詩 夜とまばたき Copyright 木立 悟 2012-10-29 22:13:22
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