一日一日
さち

たいそうなこと ではなくて
そう
立派な家庭とか
何不自由ない暮らしとか
そういうのが望ってわけじゃなくて
だけど
憧れってのはあるわけで



現実は
ただ
どうにかやってます、って感じで
毎日は過ぎていく
どうにもならないところを
どーーーにか こうにか して
一日一日


どう見ても
親子4人でちょうどいいぐらいの家に
3世帯の4世代 7人で暮らしてるのは無理がある
ひいじいちゃんは もう91歳で
ひいばあちゃんは 記憶が怪しくなってる
旦那は高血圧に薄毛
あたしだって更年期
息子夫婦は元気 だけど金が無い
金が無いのに
もうじきまた 2人目の赤ん坊が生まれてくる
上の子は1歳半で 布団にも枕にもお絵かきをする

バリアフリーとはほど遠く
トイレも一つで 朝は戦争
脱衣所もなくて 台所の片隅にカーテンを引く
けど 1歳半の赤ん坊がパカパカめくる

暮らしていくのは大変だ
だから
いがみ合って
許し合って
助け合って
一日一日

次々現れるほころびに
片っぱしからつぎをあてて
およそ今風とは正反対の暮らし
「こうだったらいいのに・・」とか
「こんなのが夢だよなぁ」とかを
山のように抱えたまま



それでもね
笑えるんだよ 人間って

90歳差を乗り越えて ひ孫と遊ぶひいじいちゃんに笑い
ひいばあちゃんのバッグあちこちから出てきた 30本ものボールペンに笑い
長年溜めこんだ名入タオルが 新品のまま変色してると笑い
気を抜いてたら米櫃が空だったと笑い

笑って
老いの不安や
体の不調も
お金の無さや
住み心地の悪さも


消えはしないけど 時々忘れて
一日一日


自由詩 一日一日 Copyright さち 2012-10-25 23:56:42
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