沙漠と薔薇
梅昆布茶
さらさらと無限にかたちを変えてゆくもの
どくどくと体の中を対流するもの
ぼそぼそと語りかけるもの
ろうそくの科学で薔薇の庭園を飾る
スズメバチの襲撃を警戒しながら僕たちは生きている
空から降りてくる言葉に翻弄されて
穴のあいたバケツを打ち鳴らしながら
僕たちはまたフランス革命を起こさねばならないのかも知れない
せつないラブソングが街に流れまたクリスマスがやってくる
エルトンジョンがピアノのうえで踊るように
また今宵も踊ってみせるだけ
定義を定義する作業はもう沢山だ
欲しいのは小粋なひとつの歌
風を孕んで星を歌うのさ
沙漠が美しいのは何処かに井戸を隠しているから
言葉が美しいのは心の井戸にふれるから
言葉が酷いのは空しさを知らないから
手のひらが暖かいのはきっと
誰かの手が凍えているから
たった一本の薔薇を見つけるために
僕たちは5000本の薔薇を育てているんだ
そしてそれを沙漠に植えたりするんだ
君に貸した本の間にこっそりと挟んでおいた
ラブソングを聴いて欲しいんだ
人生が美しいのは
たった一篇のラブソングがあるからなんだ