猫の音符
カマキリ

西日が窓枠の影を作っておおげさに見えてくるころ
ひっそりした教室で息を止めていた

均等に並べられた机の一つに腰掛けて
線の薄い魔物と向かい合っている

吹奏楽部のチューニングがだんだん大きな音になっていって
なんだかとてもいけないことをしてるような気になって
急いでその場をあとにする

バス停と銀杏並木のスケールがおかしくなっていて
それさえも縦横無尽に僕を責め立てている

定期入れに残り少ない光が反射して
でたらめになった出発点と
もはや間接的な要因で異なってしまった着地点

駅前の意味不明なモニュメントとそれとは別に切り離せない問題
大名焼きの屋台から聞こえてくる妙な歌声
帰り道を切り刻んでいくローファーの底

すべてを遮断するには心もとないイヤホンに
指先の力を込めてから目を閉じていた


自由詩 猫の音符 Copyright カマキリ 2012-10-23 18:15:22
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