窒素またはアルゴン
梅昆布茶

銀翼の先が震えている絶対零度の闇のフライト

期待値の乱高下近似値の生活相対値の憂鬱

固体にもなりきれず水のようにも流れない不活性な期待

城砦のかなたにかかる月澄み渡る理想液体の夜

デカダンという夢想の階段昇りつつ太宰の恋の月見草に似て

乱切りの食材楽し寝乱れた夜を溶かして味噌汁の湯気

薄墨にながれるままに暮らしつつふと生きづらさ歌に託して

朝まだき街の寝起きのゆるやかに夢を断ち切るきみの唇

組曲と一日をつなぐ通底のモチーフになってよ澄んだ魂

天文薄明地平線の下には世界の淵の坩堝があって


短歌 窒素またはアルゴン Copyright 梅昆布茶 2012-10-18 21:52:35
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