雨は。
プル式

雨の日は床の油と土とが湿気に混ざって独特の匂いがする
信号待ちの小学校の前でそんな事を思い出し

雨だ
僕は歩くのが下手で
いつも靴がずくずくで
傘はその意味を放棄している

風が
びよう、と吹いて
揺れるしずくが楽しくて
遅刻間近を走り出す

午後
雨上がりの憂うつを鞄にしまい
余計なものまで洗い流した街を
少しだけ楽しそうな振りで歩く

雨は好き
きっと沢山の溶け出した思い出が
おかえりってするから。


自由詩 雨は。 Copyright プル式 2012-10-17 09:09:03
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