アヒルのピーッて鳴るやつ
カマキリ
私の指はとても不器用で
目の前にあるものを掴むのに時間がかかる
だから誰かがサッと掠め盗っていってしまったり
のんびりしすぎて消えてしまったりする
ビルの谷間に逆立ちで歩いている
理想郷が多すぎてどれに入ればいいかわからなくなっている
私は結局、たくさんの靴音に引きずられては振り返り
ため息でふくらませたバルーンを山ほどこさえているのだった
ゴミの迷路を突き進んでも答えのない方がよくて
自分で積み上げた蜃気楼に翻弄されるのが日課だ
昨日は雨だった
私は水たまりのほとりに座って
水面の上を、端から端まで、指を走らせている