火の粉のようになりたい
マーブル

純白に広がった眩しき光の画用紙に
身を震わせながら生ぬるいみずを垂らした
祈りに悶えるおんなの吐息を筆にふくませ
なぞりはじめてみた
何故だか気怠い何故だか
満ち溢れてくる月の情緒の沸騰のよう


それらは
世界中の溜め息のように
眠たげに滴り落ち流れ着いた
おんなの凍てついた泪だとその時になって気づくのであった


青葉の反抗期とざわめきは教室から見ていた憧れで
掴み取ったハンカチーフが泥まみれでも
アオイハルだ!なんて
胸には懐かしい木枯らしが疾走していたのだ
意識が鳥ならば
木陰に潜みやがて無数の
灯りが湧き出すだろう
白黒の景色に飴玉が燦々と夜を彩りしだいに溶けて
その胸に宿るのだろう


見果てぬ夢の底で太陽は
黙っているわけではない
沈む間際にあなたは
赤く焦がれた温もりを
手渡してくれるもので
わたしはそれを
全身にうながしては
森の片隅で寝息をたて
焚き火の火の粉のように
なりたいと思うのである








自由詩 火の粉のようになりたい Copyright マーブル 2012-10-04 22:30:23
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