ダンサー
まーつん

雨粒を指先で弾くと
光が砕けた
それは夜を背景に
風の中に散っていった

相席した男がふかす
煙草の煙を呑むと
しなびた思いが伝わってきた

今のこの悲しさも
明日には忘れているのだろうか
生きていくことは 板塀のペンキ塗りに似ている
切り出した材木が見せる あるがままの木目を否定し
画一された色彩で塗りつぶしていく 違いはないのだと

あなたと私は 同じなのだと
そんなはずはないのに

スーツを脱ぎ捨て 裸になる
水たまりの中にくたくたとくずおれる ブランド物の布きれ
帰宅人達が行き来する 往来の真ん中で 万雷の拍手と嘲笑を浴びながら

そして 酒瓶の上で踊りだす…


自由詩 ダンサー Copyright まーつん 2012-09-25 22:27:33
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