遍ねきもの
木の若芽

「遍ねきもの」
         木の若芽


世の中で起こっている一切の事は
まさに自分の心の中でも起こっている
同時に進んでいる
遍ねき時間
ああ また
わたしに台風が発生した
フィリピン沖で わたしの目がまわる
わたしに地震が起こった
アラビア半島で わたしのくるぶしがくだける
デモが起こった
いじめが起こった
腹を刺され 脊髄をねじられる
熱いよ 痛いよ
こわいよ 悲しいよ

雨の音が嘘のようにやんだ
夢だったんだろうか 真夜中の雨
いや いつも降っているんだ 希望の雨は
だけど悲しみや苦しみの雨はいつかやむんだ
晴れていても 遍ねき希望の雨が降り続け
雨が降っていても 遍ねき勇気の陽がさし続けているのを
今ならひしと感じられる

無尽に喜ぶことができる
木はあんなに高かった
見上げれば
登らないでも今日はわかる
思っていたよりずっと
木は高く広々と世界を見て喜んでいる


自由詩 遍ねきもの Copyright 木の若芽 2012-09-24 14:17:21
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