掠れた息をつくように
ベッドにそっと
言葉にならないものを吐いたとき
その言葉にならないものはすぐ露のように朝の陽にきえた
あの日のあの雲にはもうであえない
とりかえしがつかないこと
わかっている
わかっているけど
なんどでも
身体はでかけてゆこうとする
しっかりしてと叱るだれかがいて
*
いないはずのひとがいた
すわっていた
あたたかい冬の縁側で日ざしを浴びていた
カゲがのびて
あのひとだとおもった
カーテンがゆれていた
子どもらのかんだかい笑い声
だれかのくしゃみ
だれかの咳きこみ
くるまの音
とおくからの雑沓がもどる
いないはずのひとは
やっぱりいなかった
*
朝のマクラがぬれていた